名言で心をつかもう! 名言の作り方入門! (ナカガワ)
名言を言うのって難しい・・・
名言ってどうやって考えてるんだろう・・・
そんな人達必見!!
今日はとちろう君と一緒に名言の作り方をマスターして、愚鈍な大衆の心を掌握しよう!
<登場人物>
・とちろう君
今年小学生になったばかりの真面目な男の子。三度の飯よりも猫が好きで、犬のことは毛嫌いしているよ。(毛だけに)
・名言はかせ
日夜、寝食を惜しんでより良い名言を言うための研究に励む博士。でも、外出は大嫌いで一日中家にこもっているので、基本的には誰とも話さないよ。
「はかせー! いざという時のインタビューで誰もが心酔するような名言を吐いて、たとえ僕がどんな間違ったことをしでかしたとしても僕を盲信する狂ったファンを大量に獲得したいから恰好良い名言を吐けるようになる方法を教えてくれよー!」
「ファンという人種を完全に見下したその態度はむしろ清々しくて感服するが、君はまだ小学生じゃろう。そんなインタビューを受ける心配などする必要ないと思うがのう。ホッホッホ・・・」
「ホッホッホ・・・だなんてキャラ作りしないと出てこないような言葉を発する暇があったら教えてくれよ!」
「そこを突かれては恥ずかしいの・・・。仕方ない、教えるとしよう」
「ひゃっほ~い!」
名言の作り方その1、理由を否定してひっくり返す
「この作り方を利用してサッカーにおける名言を作ってみよう。まず一つ、ごくごく普通の文章を作るんじゃ。その時に大事なのは、その文章が”~だから~”という理由を表す文章であることじゃ」
「たとえば、“ゴールがあるからボールを蹴る”という文章ができるな。これの理由を否定して、文章をひっくり返してみると・・・」
「わっ、名言っぽい!」
「じゃろう? 名言なんてちょろいもんなんじゃ。この理論を使えばこういった類の名言は簡単に量産できてしまうんじゃ。“成功したいから努力するのではない、努力するから成功したいのだ” “好きだから一緒にいたいんじゃない、一緒にいたいから好きなんだ” のようにな。どれ、とちろう君も試しに一つ作ってみなさい」
「う~ん・・・難しいな・・・・・・あ、できた!」
「なんでだよ」
「わっ、名言っぽい!」
「ぽくないよ。腹痛が悪化するだけだよ」
「何が駄目だっていうのさ。ちゃんとはかせの言う通りにやったっていうのに」
「君は今名言を考えようっていうんじゃろう、まず第一に“レバ刺し”だなんて単語が顔を出す名言なんてないじゃろうが」
「センマイ刺しならよかったの?」
「そういう問題じゃない」
名言の作り方その2、人生を説明する
「2つ目の作り方はこれじゃ。そもそも“人生”というものは非常に多面的なもので、人によって捉え方がさまざまなのじゃ。じゃから人生についてどう語ろうがそれなりの説得力が生まれるのじゃ」
「この作り方を説明すると、まず、なんでもいいから一つモノを選ぶ。今目に入るものでもいいし、自分が好きな食べ物でもいいじゃろう。それを“人生とは〇〇のようなものだ”という文に当てはめる。そしてその単語の一般的な説明を付与させるだけでよいのじゃ」
「わぁ、えらく簡単だね。これまた名言が量産できそうな予感がするよ!」
「たとえば、わしの好きな“棒アイス”を使うとこんなのができるな」
「本当だ!名言っぽくなってるね」
「とちろう君もこのやり方で作ってごらん。食べ物じゃなくても、今目につくものでもいいし、とにかくなんでもいいんじゃよ」
「そうだなぁ・・・目につくもの目につくもの・・・・・・できた!」
「名言!」
「じゃないよ。もろスカイツリーの説明文じゃないか。そりゃなんでもいいとは言ったが例外はあるんじゃよ。普通、名言に”なお”なんて追加説明は入ってこんじゃろうが」
「難しいよ~」
名言の作り方その3、ベタな言い回しに付け加える
「これが最後の作り方じゃ。これは今までの2つに比べて少し難しいが、成功すれば既存の名言にも勝る金言が作れるからオススメじゃ」
「ベタな言い回しっていうのは?」
「“恋は人を盲目にする”とか“時が癒してくれる”みたいなやつじゃな。実際にこういった言い回しに一言付け加えた名言も存在するんじゃ。“恋は人を盲目にするが、結婚は視力を戻してくれる。(リヒテンベルグ)”などがその例じゃな」
「確かに、従来使われてきた名言をうまく踏み台にすることで、人々をハッとさせるような名言が作れそうだね」
「その通りじゃ。わしも一つ作ってみるとしよう」
「かっこいいー!」
「じゃろう? 一般的に正しいとされてきた言葉に批評を加えることで強烈なパラダイムシフトが生まれ、他とは一線を画す名言が出来る。そしてその名言を生んだ者の評価はうなぎ上りなんじゃ。さぁとちろう君、君も作ってみるんじゃ」
「ベタな言い回しに付け加える、かぁ・・・。難しいなぁ・・・。うーん・・・・・・できた!」
「これは名言でしょう!」
「違うよ、どういう名言なんだよ」
「『可愛い猫耳美少女に言ってほしい名言』だね」
「作り方はこれだけなんでしょう?もうあんたに教わることはないよ!それじゃ僕はこれからしこたま名言を生み出すとするからもう家に帰るよ!ばいばーい!」
タッタッタッタ・・・・・・
「言ってしもうたな・・・。とちろう君にはこの言葉を伝えておきたかったんじゃが・・・」
オニオンプランター