ある日見た夢のおはなし (ウエムラ企画)
現実から少しだけ離れたものに興味はおありですか?
なら、ぜひどうぞ。
突然ですが、昔見た夢に忘れられない夢ってありませんか?
例えば、夢の出来事が摩訶不思議であったり、恐ろしかったりして
心に焼きついて離れない夢のことです。
私は高校1年生の時のこの頃に見た夢が未だに忘れられません。
その夢のことを少しだけお話させてください。
気がつくと私はどこかの動物園のようなところににいました。
ここがどこなのか今ひとつわからないので
適当に歩いていると、羊がたくさんいる場所につきました。
そこで気がつきました。
ここは動物園ではなく牧場なのだということに。
その後、個人的に馬が見てみたいなと思い、うろうろと歩いていました。
すると遠くに・・・
ん・・?
えーっと・・・?
なにあの白いやつ。
と思わず目をこすり、とりあえず近づいて行きました。
息を切らしながらたどり着いたそこには、
見たことのあるような、ないような不思議な生き物が一歩も動かずにいました。
私は何を思ったか、とりあえずなでてみようとして近づくと
いきなり立ち上がり
なんと言っていたのかは一切覚えていませんが
何かを叫びました。
急に動いたのと、声を発したので私は驚き、尻餅をつきました。
それと同時に、この生き物に興味が湧きました。
なんて気持ち悪いフォルムなのだろうと。
そして、なんで檻から出ているのだろうと。
とりあえず私は後ろをついて行きました。
すると彼はどうやら近辺の地形に興味を持ったらしく、
案内看板を食い入るように見始めました。
しかし、夢の中はあいにくの濃霧で、
案内で紹介されている山々は一切見えませんでした。
口惜しそうにしていた姿が記憶に残っています。
その後も探索は続き、もちろん私もついていきました。
次は動物がいるところに到着しました。
最初はこぶたを見ていました。
というよりも彼は完全に見下してました。
時々、彼の肩が小刻みに震えていたことを私は覚えています。
豚肉おいしいのに。
それに比べて、馬なんか走る以外に何ができるのだろうか。
というか、彼は走ることができるのだろうか?
こぶたの次は、おそらく同族である馬を見ていました。
人を乗せて歩く同族の姿を見て、
彼が何を思っていたのかは私にはわかりません。
でも、こぶたの時とは違いどこか誇らしげだったような記憶があります。
そうか、彼はできないのか。
というよりも、このあたりで私はこの世界にも普通の馬がいることに気がつきました。
故に、彼は本当に何なのだろうと思い始めました。
そのあと、急に駆け出し、
乗馬を終えた仲間のところに行って、褒めていました。
彼に褒められた馬がどことなく嬉しそうだったような気がします。
次はどこに行くのだろうと思いながら彼の後ろを歩いていると、
路上にヒツジがいました。
私はさっきのこぶたの件があったので、どうせまたあざ笑うのだろうと
思っていたのですがヒツジは例外でした。
目にするやいなや、そっと近づいて行き、自らの手を伸ばしていました。
おそらく、ふわふわな毛に触りたかったのではないかと私は思います。
なんともまあ自分勝手な。
その後ヒツジが歩いて移動し始めたので、彼も私も一緒について行きました。
移動した先には・・・
ヒツジがたくさんいました。
私は先ほどの彼の行動から、次の彼の行動は容易に想像がついていました。
やはりこうなりました。
そしてこうなりました。
この時のヒツジの表情がなんとも気まずそうにしていたような
記憶があります。
こんな奴に抱きつかれたら、そうなるなと私は思いました。
そのあと、しばらくヒツジと何かを語らっているようでした。
というか、君そっちの言葉を話すことができるんだねと驚かされたことを覚えています。
それと、この時のヒツジの表情が気まずいを通り越して迷惑そうだったことも覚えています。
彼はどこまで空気が読めないのだろうと私は思いました。
ヒツジとのお戯れが終わりまた彼は歩き始めました。
が、突然しゃがみこみました。
何をするのだろうかと私が思っていると・・・
おもむろに草を食べ始めました。
あちこちを歩いたのでお腹が減ったのでしょうというのは置いといて。
食の趣向も動物に近いことを悟りました。
腹ごしらえをしたあとは、何かの建物へと足取り軽く入って行きました。
もちろん私もついていきます。
チーズの博物館だったような気がします。
彼はこういうものはしっかり読んでいました。
勉強熱心なのでしょう。
というか、私はここで気づきました。
そっちの言葉にも理解があるのかと。
なんと彼2つの言葉を理解していました。
俗にいうバイリンガルなのですね。
なかなか食えないやつですね。
チーズについて学んだあとは何をするんだろうと思っていたら、
近くにいた似顔絵師さんのところへとまるで子ども、いや子馬のように
駆け寄っていきました。
正直なところ書いてもらえないだろうと私は思っていましたが、
似顔絵師さんはとても優しく、快く彼の絵を書いていました。
似顔絵を書いてもらっている最中に、近くにいた子どもたちから
何かを言われていたような気がします。
確か「人やー!」でした。
私もそんな気がしてきました。
そんなやりとりをしている間も
似顔絵師さんは彼の絵を書き続けていました。
手がものすごい速さで動いていたような気がします。
そして10分後・・・
彼の似顔絵が完成しました。
すごく可愛らしく書かれていました。
受け取った彼もこの夢一番の笑顔を見せていました。
あと、深々と頭を下げてお礼もしていました。
彼にそんなことができたのかと私は驚きました。
建物を出て、すぐに彼は私に似顔絵を自慢してきました。
この時、彼に対して苛立ちを覚えたことを私は忘れられません。
そして、鼻で笑われた時にかかった息の感覚が忘れられません。
しばらくの間、自慢したあとに彼はまた歩き始めました。
次はどこに・・・
あれ・・・
視界が・・・
ここで私は目が覚め、夢は終わりました。
普段寝起きが悪い私ですが、この日は嫌なくらいにすっと起きることができたことが
強く印象に残っています。
この時以来、私が彼に出会うことはありません。
彼のような不思議な生き物がなぜ私の夢に出てきたのかは今でもわかりません。
しかし、私に一抹の疑問と苛立ちを植えつけたことは間違いありません。
そんな印象の彼ですが、できることならもう一度彼について行ってみたいとも思います。
またいつか出会えることを信じてまた眠ろうと思います。
おやすみなさい。