日常茶飯事にお名前を!

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日常茶飯事にお名前を! (ウエムラ企画)


日常生活でよくあることでも、名前が無いことは数多いような気がします。

そういうことにスバっと命名してやりますよ。


 

登場人物

ウエムラ

 モッタメライターの一人。

学内で最も不人気なエッセル教授のゼミに入っている。

 

エッセル教授

 某大学の教授。様々な分野を広く浅く研究している。そのため、何も詳しくはない。

片手間でいろんな物に名前をつけることが趣味。


 

 

 
 

 教授ー

「名前」ってなんで必要なんですかね?

 

 急にどうしたんだい?

なんで名前が必要かって・・・ものごとや人、生き物なんかをを識別するには必要不可欠だよ。

実際、名前がついていないものなんてないのだよ。

 

 そうなんですか?

じゃあ日常生活でよくあるあんなことやこんなことにも、きっちりとした名前があるんですね?

 

 そうだよ。

じゃあ具体的な例と名称を見てみようか。

いろんなことの名前を知っているときっと毎日が豊かなものになるよ。

 

 

 

早速、その現象を見てみるよ。

これなんか、よくあることじゃないかな?

 

 
 
 

 なんですかこれ?クラウチングスタートですか?

というか、どうしてこんな写真持っているんですか?

変態ですか?

 

 一枚目からやけに食いつくね。

ウエムラくん、細かいことを気にしていたら器の小さい男に見られてしまうよ。

そんなことは置いといて、これがどんな状況だったか思い出せるかい?

 

 なんかすいません・・・

えーっと、角に足の小指付近を打ち付けたんでしたかね?

 

 

そうそう。よく思い出せたね。

これには 「満を持した小指現象」 という名前をつけてみたんだ。

普段は存在感の薄い小指がこういう時だけでしゃばって角にぶつかりに行くことからこういう名前が付けたんだ。そもそもこういう風に小指ばかりぶつけてしまう理由は、人間が自分の体の輪郭を曖昧にしか理解していないことが原因だそうだ。

 

 くだらない名前とは裏腹にまともな解説入れてくるのやめてください。

なんか調子狂います。

 

 まともな解説などどこにもないぞ。

君の目は節穴だ。

では次の例にいってみよう。

 

 
 
 

 え?

これは単純に「掃除」をしているだけじゃないですか。

 

 ただの「掃除」ならわざわざ取り上げたりはしないよ。

この掃除を君はいつしていたのか覚えているかい?

 

 

 すみません。いつだったか覚えてないです。

 

本当に君はどうしようもない生徒だね。

これはね、テスト期間中にやっていたんだよ。

この期間に学生が行う掃除という行為は、逃避行動以外のなにものでもないのだよ。

掃除だけでなく、テスト期間中に急に普段はやらないことをしていることにも

社会心理学の言葉で 「獲得的セルフハンディキャッピング」 という名前がついているんだ。要は言い訳をあらかじめ作ろうとしているんだ。そんなことをする暇があったら勉強したらよいのにね。           

 

 恐縮です。以後努力します。

というか、先生が名前をつけているわけではないんですか。

なんだか妙な安心感がありますね。 

 

 君は本当に失礼な奴だね。

まぁ言ったからには次のテストではやってくれるんだね。

楽しみにしておくよ。じゃあ次はこれ。

 

 
 
 
 
 

 

 次は自分の部屋で腕時計を見るという行為の名称ですか?

 

 それを日常生活の中でわざわざする人は少ないんじゃないかな?

もっと注意深く写真を見てくれ。私が注目して欲しいのはここだよ。

 

 
 
 

 

 手を握っているところですか?

 

 ようやく気付いたね。そう、腕時計を見るとき多くの人は握りこぶしを作って見るものではないかな?

私はこの行為に 「キャッチザタイム」 という名前をつけたよ。

 

 キャッチザタイムって・・・売れないバンドとか雑誌の名前みたいでなんか残念ですね。

中学生とかがすごく好きそうな名前と言えばいいんでしょうか。

 

 悪かったな。

この腕時間を見るときにどうして手を握るかと言うと、握りこぶし、またそれに近い形が人間の手の自然な形だからなんだ。腕時計を見るときは、時間を見るということに気がいっているから、手は無意識にリラックスした状態、つまり自然体になり軽く握るようになるんだ。

 

 そうなんですか。

手を開いた状態の方が自然だと思ってました。

名前の残念さを挽回する素晴らしい解説でした。ありがとうございます。

 

 その棒読みは人を不快な気持ちにするよ。

気をつけたまえ。

どんどんいってみよう。

 
 
 

 

 これはちょっと分かりにくいけど、どういう状況かわかるかい?

 

 午前8時5分であるということぐらいしか読み取れません。

どういう状況なんですか?

 

 やはりわかりにくいね。

少し時計をアップにしてみるとわかるかな?

 
 
 

 

 もしかして、アラームがなっているんですか?

 

そのとおり!

アラームがなっています。だけど君は起きる気配がないね。

まるで音が聞こえていないようだ。

 

 教授、これは確実に聞こえていないです。

ここ最近、この目覚まし時計の音を聞いた記憶がないです。

 

 だろうね。最近一限目どころか二限目でさえも遅刻をしている君の姿を見ていると

こんな時間に起きることができていないことは容易に想像がつくよ。

この、目覚まし時計の音が聞こえないという現象にもちゃんとした名前をつけたよ。私が。

 

 またですか。

教授が付けた名前ってなんだか発想が子どもっぽいですよね。

どんな名前なんですか?

 

口は災いのもとということわざをしっかりと理解したほうがいいよ、君は。

この現象には 「スリープクリング」 という名前を付けたんだ。

そもそも、どうして目覚まし時計の音が聞こえないのかというと、

人間の睡眠にはレム睡眠と呼ばれる、体は寝ているけど、脳は起きている状態とノンレム睡眠と呼ばれる体も脳も寝ている状態が存在していることが大きな要因なんだ。

この二つは90分の周期で入れ替わるのだけど、目覚まし時計の音が聞こえない人の多くは

眠りが深い状態であるノンレム睡眠の時に目覚まし時計のなる時間を設定していることが多いみたいだよ。

だから朝に時間通り起きたい人は夜のうちから90分の周期で計算して、眠りが浅いレム睡眠の時間帯に目覚まし時計をセットするのが理想だね。

朝起きるためには夜からの準備が必要ってこと。

 

 訳すと「眠りへの固執」ですか、割とそのまんまですね。

それとパソコンをしっかり見ながら睡眠のことについて力説をしても、

あんまり説得力無いですよ。ウィキペディアは本当に便利ですね。

 

 む・・・パソコンを見ていたのは事実だが、見ていたのはウィキペディアではないよ。

残念でした

さてさて、次はこれかな

 

 

 
 
 

 

 これは・・・何かを探していますね。

 

そうだね。これは携帯電話を探しているところだよ。

この、携帯電話に限らず、大事なものが突然どこかに行ってしまうことに 「仏隠し」 という

名前をつけたよ。

どうしてこんなことが起こるのかと言うと・・・これは単純に「老い」が原因だよ。

 

 なに上手いこと神隠しを言い換えたみたいな顔してるんですか。

全然上手くないですよ。

というか理由がなんだか投げやりですね。

 

 しかたないじゃないか。

私だって人間なんだからわからないことの一つや二つはあるさ。

 

 

 教授、多分一つ二つの騒ぎじゃないです。

 

 君は私が教授という立場であることを忘れているようだね。

まぁ今のは聞かなかったことにしてあげようか。

 

 

 

さてと、次で最後にしようかな。

 
 
 

 これは、電子レンジで温めたものが予想以上に熱かったんですね。

最近本当によくあることで、指先が常に火傷気味なんですよ。

 

それは大変だね。というか学習しなさい。

電子レンジに物を入れると器の温度上がる時はある。

まぁ、こういうことは誰にだってよくあることだから恥じる必要はないよ。

この現象には 「ヒートウェイブ現象」 という名前をつけたよ、いかにも熱そうだろ?

 

 教授・・・。それに近い名前をどこかで聞いたことがありますよ。

とりあえず、そのしたり顔やめてください。無性に口惜しいです。

もういろんな意味で鳥肌が立ちました。あと教授のゼミを今日限りでやめさせてもらいます。

 

最後の一人に立ち去られたら私は路頭に迷ってしまうよ。君はそれでいいのかい?

まぁそのことは後で話をしようか。

この現象にも発生する理由がちゃんとある。電子レンジはマイクロウェーブで中にある水分を照射して物を温める仕組みだから、普通は水分の持っていないお皿は熱くならないはずなんだ。でもどうして熱くなるのだろうか・・・・・・・・地球温暖化のせいだね。

 

 98%違うと思いますよ。その理由だと本物の方になりますよ。

単純に中の食材の温度が上がるからでしょう。

 

 

 今日のところはそういうことにしといてやろう。

 

 
 
 

 どうだった?

全てのことには名前があるということが少しは理解できたかい?

 

 少し違和感を感じるものもありましたが、大体は理解できました。

教授、今までありがとうございました。

 

 

そう急いで帰ろうとしないでくれ。最後に少しだけ私の考えを聞いてくれ。

 

名前は全てのものについている。だからこそ私は本当に大事なものだと思うんだ。

だから、近年子どもの名前におかしな名前を付ける馬鹿な親が増えてきていることを遺憾に思う。

確かに、自分たちの子どもだからどんな名前をつけるかということに制限はないし、

私のような部外者が口出しを出来ることではないと思う。でも、親であるなら子どもの人生もしっかり考え、こうなってほしいという願いを込めて名前をつけてあげることが義務だと思うんだ。

子どもの時はかわいい名前でも大人になった時には周りから冷たい目で見られるような名前ではあまりにもかわいそうだからね。就職の際に名前で判断されることも最近では少なくないようだよ。

人生は短いと言われているが、実際の約80年という時間は長い。その成長とともに味が出るような、

その最期で輝くような名前をつけてもらいたいものだね。親が好きな名前ではなく、子どもが自分の名前を胸を張って言うことができる、書くことができる名前を、名前の理由を聞かれた時に答えられる名前を付けてほしい。

 

 

君の名前はなんだったかな、ウエムラ君。

 

 

 

教授・・・・

 

「賢く悟る」と書いて賢悟です。

 

 

 

そうか・・・良い名前だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 完全に名前負けしているけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 うるさいっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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