完全運転初心者は地図もカーナビも使用せずに都内から江ノ島までたどり着けるのか
免許取得から一年未満!運転経験は片手で数えるほど!
そんな完全運転初心者は果たして、地図もカーナビも使わずに目的地までたどり着けるのか!
「さぁ、これで思う存分運転できますよ」
「え、ちょっとワクワクドキドキ!」
現在の時刻は15時17分
・・・
「ってどこに行けばいいの」
「じゃあ・・・今回は江ノ島に行ってもらいます」
「えっ、なんで!?ていうか遠くない!?」
「一度行ってみたかったんで。あ、それとカーナビは禁止です」
「なんで!?」
「言ってたじゃないですか。『自分の力で運転したい』って」
「いや、カーナビは使ってもいいでしょう!」
「じゃあコンパスは使ってもいいですよ」
「いやいやいや!」
「それじゃあ、さっそく行きましょう」
ちなみに、新宿~江ノ島間およそ60km。
通常の走行で順調に行けば1時間半もあれば到着することができるそうです。
「うわー緊張するなー!」
文句をたれつつも、なんだかんだで楽しそうなナルヒラ。
ちなみにナルヒラは地元の田舎で免許を取得してから一年経っておらず、今までの運転回数も片手で数えられるほどであり、まさに、名実ともに運転初心者である。
「コンパスは思う存分使っていただいて結構です」
「じゃあ使うけど・・・江ノ島っていったら神奈川だよね。神奈川ってことは・・・南・・・?」
「・・・」
「何か言ってよ!」
ルール
・同乗者は重要なアドバイスはしない
「じゃあひとまず南に向かおうかな・・・南はどっち?」
「南に行くならそこを右折です」
「右折右折・・・うわぁ!!」
「なんで左に曲がったんですか」
「だって車が右から来てたから・・・」
開始早々目的地から遠ざかる
「俺右折苦手なんだよね・・・」
訳のわからない言い訳をするナルヒラ
「でも次右折しないと南には行けませんよ」
「これは行っていいんだよね!?」
「・・・」
「どっちに行くんですか?」
「新宿に向かうなら車線変更しなきゃいけないから・・・四谷かなぁ」
「・・・」
消極的な理由で四谷に向かうナルヒラ
「あっ、厚木だ!確か厚木って神奈川県だったと思うんだけど・・・ここを目指せばいいんだよね?」
「・・・」
「答えろよ!もうどうなっても知らないからな!」
確証は持てないものの厚木を目指すナルヒラ
「今はちゃんと南に向かってる?」
「一応南には向かっていますね」
「見て!渋谷ヒカリエだよ!ほら!」
「運転に集中してください」
「!!! 横浜ナンバー!これについていけば間違いないでしょ」
「あれ・・・」
「あぁ・・・横浜ナンバーの車曲がっちゃったよ」
「横浜ナンバーだからって横浜に行くわけじゃないですよ」
「見て!厚木がいっぱいだよ!ほら!」
「運転に集中してください」
「少し日が暮れてきた・・・間に合うかな」
「逆光で標識も見にくくなってきましたね」
「おぉ、視界がひらけた!」
「景色が綺麗ですよ、見ないんですか?」
「運転してるこっちは景色を愉しむ暇はないから腹立つなぁ」
どうやら郊外に出てきた様子
「うわっ!なんか上ってるけどこれ大丈夫なの!?高速入っちゃうんじゃない!?」
「ただの陸橋ですよ」
「なんだ、良かった」
「!? いきなり静岡出てきたけど・・・まあ方角的に間違いはないのか!」
道なりを進みます
「新横浜が出てきた!新横浜は確実に神奈川でしょう!厚木はもういいや」
「・・・」
新横浜の出現に喜びを見せるナルヒラ
「あれ、新横浜がなくなった・・・。でも東神奈川は絶対神奈川でしょう!」
「・・・」
「あっ!あれは・・・」
「ららぽーとだ!!」
「寄っていい?何だかんだで2時間くらい運転してるから休みたいし」
「いいですけど駐車場はとっくに過ぎてますよ」
「なんだよもう・・・まあいいか。それより南に行かなきゃな。ここを左折してっと」
「・・・この道で大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫。南に進めばいいわけだから・・・あっ!!」
「どうしたんですか?」
「コンパスの見方を勘違いしてた・・・今、東に進んでる・・・」
「何してるんですか、もう・・・」
「道幅は狭いし、草はボーボーだしこれはまずいぞ・・・」
「もういやだ・・・セブンイレブンの工場とか出てきたし、何よりも今この車が目的地に向かっていないから運転のモチベーションも上がってこない・・・」
「やる気出してください!」
「ぎゃー!! 道が狭い!!」
狭い道と格闘すること約10分・・・
「やっと大通りに戻れた。良かった・・・」
「次は気を付けてくださいよ」
ららぽーとに停まれなかった辺りから明らかにリズムを崩したものの、一安心するナルヒラ
大きくタイムロスしてしまったが、
比較的順調に南へと向かう!
「景色が綺麗ですよ、見ないんですか?」
「だから運転してるから見えないんだって!!」
その後、コンパスだけを頼りにひたすら南に進むことおよそ15分・・・
「これまたずいぶん細い道に来ちゃいましたね・・・大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫、南に進んでるわけだし!」
「大丈夫、大丈夫・・・」
「もうなんだよここ!!狭すぎだよ!しかも前から人来てるし!!」
「後ろからバイクも来てますよ・・・」
「うそ!?挟み撃ちじゃんか!!」
「擦ってない?ねぇ、擦ってない!?」
「・・・」
「うわーーー!!!!もういや!!」
「・・・」
「・・・」
「やっと山道を抜けだしたよ・・・」
「はぁ・・・」
「これはどっちだ・・・右折苦手だから左に行くよ!もう!」
「・・・」
「方角は合ってる!?」
「南には向かってます」
「だいぶ時間がかかってますね・・・」
「分かってるよ!そもそも、俺運転初心者だし、土地勘が無い上に地図もカーナビも封じられてるんだから、どう考えても時間かかるに決まってるだろ!むしろ、時間がかからない要素が一切無い!」
「・・・」
「そういえば、レンタカーの返却期限は23時までなんですけど・・・大丈夫なんですか?」
「確かに往復の時間を考えたら、結構厳しいな。今まで怖くて避けてたけど、高速道路を使った方がいいのか・・・?」
「・・・」
「答えろよ!!忘れてるかもしれないけど、お前も当事者なんだぞ!!」
「・・・」
「いいのか!?高速乗るぞ!!」
「はい、乗ったよ!!もう知らんからな!!」
「・・・」
「ところで、免許教習以外で高速道路を使ったことあ・・・」
「静かに。今、少しでも俺の気を逸らせたら死ぬ」
「・・・」
「今鎌倉方面ってあったよね!?」
「鎌倉行くなら次で降りるみたいですね」
「よし、降りよう、たぶん合ってる!江ノ島と鎌倉は近いはず!!」
そして、高速道路を降りる。
「あ、ほら鎌倉!!多分江ノ島近いよね!?」
「・・・」
「もういいよ!」
「・・・険しい。山が険しい。江ノ島って海なんじゃないの?本当に江ノ島に近づいてるの?」
「・・・」
街に出る。
「南・・・南・・・ん?」
!?
「やったー!!江ノ島だー!!」
「あそこだよ!多分、あそこが江ノ島だよ!」
江ノ島に向かって海沿いを走る。
そこからおよそ10分後・・・
到着!!
「やったーー!!!!!着けるとは思わなかった!!」
観光シーズンをやや逸したとはいえ、やけに閑散としている駐車場。
もう今日の江ノ島は終わってしまったようである。
ナルヒラが運転初心者であることがよく分かる駐車の様子
到着時刻は19時20分。一度も渋滞には引っかからなかったものの、出発からゆうに4時間が経過している。
どの店も閉店の準備を始めている。
もっと早く到着できていれば江ノ島を堪能できていたのかもしれない。
海を眺めるに最適であろうベンチ。だれ一人座っていない。
墨汁を流したように真っ暗な海。
もっと早く辿り着けていればさぞ綺麗なオーシャンビューが拝めたであろうに。
ともあれ、記念写真を撮るナルヒラ。興奮のあまり風景に同化するほどのはしゃぎっぷりを見せる。
と、江ノ島ですることはもうなく、レンタカーも返却しなくてはならないので・・・
帰り道はカーナビを使用して、最短ルートで帰路に着く。
下のマップの赤い線が今回通ったルート
二枚目のマップの青線は出発地と目的地を結んだ線。赤丸で囲んだのは、序盤にひたすら目指していた「厚木」である。
・同乗者による総評
蛇行はしているが、大きく間違った方向には進んでいなかった模様。
早々に「厚木」をとりあえずの目的地に設定したのが功を奏したのかもしれない。
終盤やけくそで乗った高速も、振り返ってみれば適切な位置で降りられていて、非常に効果的だったことが分かる。
結果としては今回の挑戦で、地図、カーナビなしの運転初心者でも意外と目的地までたどり着くことはできるということが分かった。
行きの所要時間(地図、カーナビなし) 4時間3分
帰りの所要時間(カーナビ使用) 1時間21分
ナルヒラの粗末な運転技術のせいで死ぬかと思った回数 27回
・・・
以上が今回の旅の全貌です。完全運転初心者でもやればできる、ということが証明された旅でもありました。
「俺はペーパードライバーだから運転なんて無理だ・・・」だとか「私は初心者だからドライブは助手席で我慢するわ・・・」などという風に運転を諦めていた方にもし、「安全運転にさえ気を付けていれば、完全初心者でも運転はできる」ということを感じ取っていただけたら非常にうれしく思います。
ちなみにナルヒラは「もう二度と運転はしたくない」と、運転の喜びを語っています。
ピエロと墓荒らしにご挨拶