鴨川のカップルをカウントせよ inクリスマスイブ (ニシカゲ)
クリスマスイブ、サンタになってカップルたちに地獄を届けに行きました。
こんばんは、ニシカゲです。
さて、鴨川調査も今回で三回目である。
前回と前々回の様子については下を参照してほしい。
(鴨川のカップル間距離を計測せよ~朝日新聞記者の方と一緒に~)
三回目にもなると新鮮味もまるでないが、今回は年に一度の聖夜だ。
さぞかし大勢のカップルの大群が発生しているに違いない。
私もジャージ上下にサンタ帽をかぶったスタイルで気合を入れる。
寒い。
どう見ても不審者にしか見えないが、カップル共へ不快感を与えるのにちょうど良い姿だ。
京都府警の方も多少大目に見てくれるだろう、聖夜だし。
自分自身は多少の周りの視線は気にならなかったが、撮影のナルヒラが「頼むから撮影の時以外で帽子をかぶるのはやめてくれ」と言った。しかしこの帽子は一時たりとも外すわけにはいかない。
調査方法
・調査方法は第一回の時と同じく出町柳から七条まで鴨川沿いを走り、カップルの数を数える。
・実際に恋人同士でなくても(確かめようもないし)男女二人でいればカップルとみなす。
出町柳~二条間
まずは、第一回目の調査の時と同じように鴨川と高野川に挟まれたデルタ地帯へと移動した。
おかしい。
カップルどころか人っ子一人いやしない。
これは半年前の調査時の写真。
寒い季節であり、春の調査の時よりは人が少ないということは予想できていたが、クリスマスイブだからもっと多くのカップルがいるかと思っていたが……
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カチカチ……
出町柳~二条間のカップル数はたったの2組。
幸先の悪いスタートとなった。
二条~三条間
なんで!?
三条のほうに行けば多少人が増えると思っていたがそんなことはなかった。
二条~三条間のカップルはたったの3組。
いったいカップルたちはどこに行ってしまったのだろうか……
三条~四条間
三条~四条間のカップル数は2組。
座っているカップルだけでなく、ただ歩いていたカップルも含めてこの少なさ。
普段目障りなくせに一番肝心な時だけいないのだろうか。
半年前にはこの辺りには約120組いた。
しかし今となってはその60分の1にまで減少。
四条~五条間
カップル数0組。
サンタの帽子がさびしく揺れる。
五条~六条間
0。
そもそもこの企画は、彼女のいないジャージ姿の馬鹿がカップルに嫉妬しながらも淡々と走っていく様子を楽しんでもらうという自虐的記事のはずだった。
しかし、カップルがいないのでは自虐のしようもない。
サンタどころかピエロにもなれやしない。
途中、京都にある満室になっているラブホテルを数える企画に変更しないかと提案するも却下されてしまった。
六条~七条(ゴール)
0。
こんなはずじゃなかった。
どうせ家の中でぬくぬくとほーむぱーてぃでもやっているのだろう。
「今日は僕がサンタだよ♪」とかやっているのだろう。
かってにすればいい
クリスマスなんて大嫌いだ。
疲れた、なんだかねむい
そのときだった
私の体を光が包む。
私は子供のころに戻っていた。
今日は楽しいクリスマスイブ。
子供のころ、クリスマスが近づくたびに心が躍った。
クリスマスツリーの飾りつけをしながらわくわくした。
クリスマスイブにはお母さんの作ったごちそうをたくさん食べて、ケーキの上のお菓子の家を誰が食べるかじゃんけんで決めた。
明日のプレゼントにドキドキしながら、寝られるかなどうかなと思いながらいつのまにか寝ていて……
朝起きたらプレゼントはちゃんと置いてあった。
今日は何をしようか。
サンタさんからのプレゼントでいっぱい遊ぼう。
おやつは昨日の残りのケーキを食べよう。
今日から楽しい冬休みだ。
楽しい行事はまだまだ続く。
大掃除が終わったら大晦日だ。
今日だけは12時まで起きててもいいんだ。
今日は面白い番組がいっぱいやってる。
ジュースを飲みながらお菓子を食べて、除夜の鐘を聞いて……
お雑煮とおせちを食べて、親戚のおじさんとおばさんからお年玉とたくさんもらって……
それから、それから……
いつからクリスマスは楽しくなくなったのだろう。
いつから年末にわくわくしなくなったのだろう。
クリスマスもお正月もみんな私のための行事だった。
いつからクリスマスはカップルのための行事になったのだろうか。
サンタ・クロースは信じる子供のところに来るんじゃなかったのか。
もう一度楽しいクリスマスが来ればいいな……
気温0℃の鴨川で、倒れた男が一人。
京都の町が生み出す人工の光に照らされながら、ニシカゲは静かに息を引き取った。
陰の者