鴨川のカップル間距離を計測せよ~朝日新聞記者の方と一緒に~

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鴨川のカップル間距離を計測せよ~朝日新聞記者の方と一緒に~ (ニシカゲ)


モッケイエンタテイメントに届いた、朝日新聞記者の方からの一通のメール。

それは「鴨川カップルを共同調査しないか」 という旨のメールであった。


 

こんにちは、ニシカゲです。

先日、私は「青春賛歌~鴨川カップルをカウントせよ~」という記事を書いた。

この記事が朝日新聞の記者さんの目に留まったらしく、

「鴨川カップルを共同調査しないか」

という旨のメールをいただいた。

共同調査当日、私たちは四条駅付近で落ち合うことになった。

私一人では、場が持つ気が全くしなかったため、管理人であり前回の調査の時に協力してくれたナルヒラ(というよりもほとんどナルヒラに丸投げ)にも来てもらった。

今回一緒に調査を行う机記者は、朝日新聞夕刊の「ますます勝手に関西遺産」というコーナーを担当している。

 

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真中が朝日新聞記者机美鈴さん。

 

机記者「どのようなことがきっかけでこのような記事(モッケイエンタテイメントで)を書くことになったんですか?」

ニシカゲ「ナルヒラとナカガワに誘われたからです」

机記者「やってみてどんな感じですか?」

ニシカゲ「最初はどうすればいいかとかかなり戸惑いましたが書いてみると楽しくなってきました。

これに参加する前は何もやることがなくてあまり充実した生活をしていたとは言えなかったのです

が、 今は以前に比べると生き生きしてます」

机記者「え!?今より(生き生きしてなかったの)!?」

ニシカゲ「……」

どうやら私は自分で思っている以上に死んだような姿をしているらしい。

 

調査法と仮説

今回の調査は「カップル間の距離」を調べるものだった。

カップルとカップルの間の距離をメジャーではかり、その平均値をだす。

時間を変えて複数回行い、その変化を調べる。

私たちの見解は、

・鴨川カップルの座る間隔は一定であろう

・遅い時刻になればなるほどカップルは増えるであろう

・それに伴いカップル間の距離は狭まるであろう

・行動も過激になるであろう

・カップル消滅しろ

であった。

 

 

午後三時

鴨川で調査を開始。

しかし、曇りであったためか思っていたよりカップルが少ない。

そのため人が増えるまでメジャーでの計測調査は保留し、近くにいるカップルに聞き込み調査を行った。

 

昼間の鴨川カップルは、比較的ソフトなカップルが多く、行動は基本おしゃべりで、何もしないで川を眺めているカップルもいる。

聞き込み調査によると、今日初めて鴨川に来たカップルもいた。

前回ほどではないが鴨川にいるカップルは多かった。

この間のカップルカウントでは実に二百組以上のカップルを観測したが、鴨川にカップルが集まるは現象特別ではなく日常的に起こっているのである。

なぜ、カップルたちは飽きもせず、鴨川に集まるのだろうか。

 

低コストスポットとしての鴨川

カップルが鴨川を選ぶ理由は何だろうか。

特に三条や四条といえば、京都市の中心部であり、カラオケやボーリング場、喫茶店などのカップルで過ごす場所はいくらでもある。

その理由の一つとしては、コストがかからないことが挙げられる。

京都には大学が多くあるため、鴨川カップルは大学生が多い。

喫茶店での出費は社会人にとっては大したことはないかもしれないが、学生にとっては痛い出費である。

そこで考えられるお金のデートスポットとして公園が考えられるが、聞き込みによると京都の中心部には公園があまりないそうだ。

つまり、鴨川カップルは、公園の代用として鴨川を利用しているといえる。

鴨川の川岸はカップルにとってベンチであり、川は噴水のようなものなのだ。

また、駅のすぐ近くにあることも好材料であり、飲み会(笑)が終わった後に「終電まで時間があるから鴨川でおしゃべりしよう」などと言って目をつけていた人を誘い出し二人きりの状況を作り出す絶好の場所であると経験者は語っていた。

 

恋愛のワンステップとしての鴨川

鴨川の持つもう一つの側面は、「恋愛のステップ」である。

聞き込み調査によると、「鴨川の川岸で一緒に座ることが夢だった」や「カップルで鴨川の川岸に座るのがリア充」という人もいた。

これは、鴨川周辺を拠点として行動するものにしかわからない独特の価値観である。

「恋愛のABC」という考えがあるが、京都に住む若者には知り合って付き合い、デートをしてABCに至るまで段階の中に、「鴨川」が無意識のうちに含まれているのではないだろうか。

「彼女と初めてデートした」とか「初めてキスをした」と同じように、
「鴨川の川岸に一緒に座った」ということは一種のフェイズになっているのだ。

 

 

 

午後四時半

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カップルも増え始めたので早速調査を開始。

できるだけカップルに悟られないように離れて距離を測る。

作り笑いがうまい二人と違い私は終始無表情で調査を行う。

はたから見たら、検地か何かをしている人だ。

調査中、草むらで何かを発見。

なんと、それはシルバーのリングだった。

鴨川で指輪。

破局か、それとも……。

鴨川や カップル共が 夢の跡
                    芭蕉

といった感じだ。

机記者は「あなた持っとるわ」と喜んでくれたが、微妙な気分であった。

ここでいったん調査を終了する。

 

 

午後六時半

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調査再開。

予想通り、カップルは増え、それに伴い密度も上がっているようだ。

二時間前に比べイチャつき度の増すカップルたち。

三人の表情も険しくなる。

多くのカップルがイチャイチャしている中で、わけのわからない調査をしているなんて、まるで罰ゲームだ。

だが、使命感の強い三人はそんな痛い視線にも屈することはなかった。

この時間帯になると肩を寄せ合うだけでは終わらなくなる。

男性が女性を後ろから抱きしめるような恰好をしていたり、ひざまくらをしている人もいる。

また、人目をはばからず、キスを交わすカップルも。

彼らは恥ずかしくないのだろうか。

やはり鴨川には魔物がすんでいる。

 

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途中、机記者の提案でカップルに紛れて座ってみようと提案される。

申し訳なく思いながらも、カップルとカップルの間に入り、座るナルヒラと私。

会話なんてあるはずない。

机記者「何か話しました?」

ナルヒラ「特に(ねーよ)」

ニシカゲ「何も(ねーよ)」

その後、机記者も加わり、三人で座ってみる。

なんだろ。

何も楽しくない。

そんな殺伐とした空気を残して調査をいったん終了たした。

 

 

 

午後八時半

最後の調査を実施。

あたりは真っ暗になり、どこからかやってきた大道芸人たちがファイヤーダンスをしている。

大道芸人達に場所を取られたためか、川岸にたたずむカップルが少ないように思えたが、少し離れたところでしぶとく存在していた。

二時間前と四時時間前の調査の時と少し変わった点は、カップルたちの年齢層である。

早い時間帯に比べてやや年齢層は高くなっている。

勝手な想像だが

 

 

  六時半 八時半 深夜
学生 鴨川(笑)二人で時間つぶし→ 飲み会(笑)&コンパ(彼氏彼女は既にいる)→ カラオケオール(笑)
社会人 仕事終わりの一杯(旨)→ 鴨川で少し風に当たろうか(涼)→ ???(寝)

 

 

 

という風に鴨川の利用時間がうまい具合にずれているのではないだろうか。

 

しかし私たちは構うことなく調査を実行した。

 

この時間になるとカップルたちの行動も相当激しくなっている。

お互いの体を、見てるこっちが暑苦しくなるほど寄せ合っている。

いつもはサザエさんよりも陽気なナルヒラの顔が能面のように冷たい表情になっている。

また、夕方からちらほら見られたキスは、この時間帯になるとそのほとんどがディープキスへと進化を遂げていた。

お互いのベロをからませ、大量の雑菌を交換して何が楽しいのだろうか。

初めてキスという行為を生み出した人間は頭がいかれていたに違いない。

こんな行為を鴨川の川岸で一定間隔で何組もやっているのだ。

一組だと恥ずかしいけど、周りもやっていたからという日本人特有のあれなのだろうか。

要は「赤信号みんなで渡れば怖くない」というやつで、小学生の言い訳みたいな幼稚な心理だ。

僻みのように聞こえるかもしれないが僻みではない。

意地を張っているだけだ。

ただ、こんなに大勢のカップルを目の前にして、私たちに何ができるというのだ。

こんな風に意地を張り、自分に言い訳する以外に私たちに

 

何ができるというのだろうか?

私たちには淡々と調査を続ける以外に残された道はない。

 

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調査結果

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調査結果は上のグラフのようになった。

具体的な数値は以下のとおりである。 

 

時刻 カップル間平均距離 カップル間最短距離
16時半 578cm 140cm
18時半 325cm 80cm
20時半 337cm 36cm

 

特に予想外のことはなく16時半から18時半の間にカップル間の平均距離は縮まり、最短距離も夜がふけるにつれて短くなっている。

16時半の平均距離は平均578cmとなってはいるが、1000cmを超える距離がいくつか混じったため、
実際は350cmくらいの距離が普通といえる。

他の時間帯はほぼ平均の値で安定。

私たちの戦いは終わった。

ナルヒラはかなり精神的にきたと言っていた。

こんなつらい戦いに巻き込んでしまって本当に申し訳ない。

なんの罪もないナルヒラ(ついでに私も。机記者は終始笑っていた)の笑顔をカップルたちは奪ったのである。

 

鴨川カップルなんて初めからいなければよかったのに

 

 

戦いは終わったといったが、実際は何も終わっていない。

私たちは明日からも生きていくし、鴨川カップルも存在し続ける。

調査をしなければ知らずに楽しく生きていけたが、私たちは直に体験してしまった。

もう私たちは昔には戻れない。

机記者に別れを告げ、私は電車に乗って下宿の最寄りの駅まで帰り、すき屋で牛丼を食べて家に帰って寝た。

机記者、お世話になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ニシカゲ

陰の者



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