バースデーケーキに何本ろうそくが立つか

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バースデーケーキに何本ろうそくが立つか (ニシカゲ)


こんにちは、ニシカゲです。

皆さんはしっかり誕生日を祝っているだろうか。


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私はもうすぐ誕生日を迎える。

誕生日といえばケーキだ

誕生日にはケーキに年齢の数だけロウソクを立てて火をつけて吹き消すという慣習がある

誰が考えたのかわからないが、これは十八世紀のドイツで始まったそうだ。

しかし、考えてみるとこの習慣が始まったのは数百年以上前のことだ。

現在、日本の平均寿命は八十歳以上だという。

それに対して十八世紀のヨーロッパは飢饉なども多く平均寿命は五十歳ほどである。

私は考えた。

近代のヨーロッパ人は人間が現代ほど長寿になるとは想定していなかったのではないか?

平均寿命五十歳なら七十歳まで生きただけでも長老みたいな扱いだろうし、八十、九十というのはもはや未知の世界であり、「いくらなんでもそこまで生きるやつはいないだろう」という感覚だったのかもしれない。

 

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つまり、バースデーケーキに立てるロウソクは八十本ぐらいが限界なのではないか。

この仮説が真実であるなら困ったことになる。

長寿大国日本では、九十どころか百歳を超えるお年寄りもかなり存在するからだ。

このまま医学薬学が進み、平均寿命が二百歳以上になったらどうなるだろうか。

 

二百歳のお年寄りが誕生日にケーキを食べるとき。

「ありゃ?ろうそくの数が足りなくないかの?」

「ごめんなさい、八十本しか立てられなかったの」

「もうそんな年になったのか。わしも先が長くないな」

せっかく誕生日が来たのにこれ以上は祝えないという悲劇が発生するのである。

私もできれば二百歳まで生きたいと思っているので不安になってきた。

この不安を解消する方法はただ一つ。

ケーキに二百本以上のロウソクが立つことを証明すればいいのである。

下準備

今回用意したケーキはいちごと生クリームのシンプルなケーキ。

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大きさは六号(大体五、六人分)でサイズとしては普通。

ケーキ屋で買うと値が張るので、スポンジケーキを買ってあとは自分で作った。

かなり安っぽいがバースデーケーキであることには変わらない。

ロウソクは大量に用意した。

32本入りのロウソクが7つ。

32×7=224本である。

一応二百本を目標に立てていくことにする。

それでは今回撮影に協力してもらう仲間を紹介する。

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ナルヒラ~

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ナルヒラ「よんだ?」

今回ナルヒラには撮影を中心に企画のサポートをしてもらう。

こんな実験のためにわざわざ来てもらうのも気の毒だ。

せめて終電には間に合うようにしたい。

実験開始

一本目

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ニシカゲ、一歳。

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記念すべき一本目。

私は一歳の時のことはさすがに覚えていない。

まだJリーグもできていなかった時代である。

五本目

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ニシカゲ、五歳。

五歳ごろになると記憶もはっきりしてくる。

確か誕生日プレゼントは戦隊もののロボだった。

また幼稚園にも通っていた。

だが私の誕生日は夏休みと重なるため、直接友達に誕生日を祝ってもらうことはなかった。

七本

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ニシカゲ、七歳。

ニシカゲ、小学生になる。

誕生日プレゼントはトランシーバーだった。

ある日このトランシーバーを一人でいじっているとどこかの電波が混じって入ってきたのか、よくわからない外国人の声が聞こえてきたことがある。

現在はトランシーバーの完全上位種ともいえる携帯電話が活躍していることを考えると時代の流れを感じる。

十本

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ニシカゲ、十歳。

ニシカゲは小学四年生。

誕生日プレゼントはトレーディングカードゲームのスターターデッキ。

当時最新のカードゲームだった。

だが金のない小学生がカードゲームに手を出したのが間違いだった。

一回だけ大会に出たが、豊富なカード資産を持つ大人に叩きのめされる屈辱を味わう

二十本

ニシカゲ、二十歳。

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現在。

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今までのがただの思い出話になったのでこれから本格的に考察していく。

これから何十本も立てるのだからなんてことないのだが、二十本でもかなりの威圧感がある。

四十二本

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ニシカゲ、四十二歳。

男性の厄年。

働き盛りの三十代を超えていきなりこの年齢。

モッケイエンタテイメントで記事を書いていたことも遠い昔のことかもしれない。

四十本を超えると熱くてなかなか火をつけることができない。

しかももたもたしてるとろうそくが解けてしまうため素早く火をつけなくてはならない。

時間との勝負である。

幻想的な光景である。

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四十二歳のおっさんが暖を取っているようにも見える

中央に置かれた誕生日おめでとうチョコプレートはどろどろに溶けてしまっている。

このころになると誕生日も「おめでとう」というより「はぁ……」といった感じなのだろうか。

六十本

ニシカゲ、六十歳(還暦)。

ニシカゲも今日で退職。

実家に帰って農業をすることになる。

六十本にもなると、ろうそくを立てるというより隙間を見つけて無理やりさすといったところ。

ここまでローソクを立てるとローソクの森といった感じである。

そして点火

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すさまじい光景。

赤いちゃんちゃんこをきたお年寄りのそばでこんなことをやっているのかと考えるとかなりシュールである。

百本

ニシカゲ、百歳(百寿、紀寿)。

ニシカゲもとうとう百歳。

このころになればTVの取材とかが来るかもしれない。

また、やることがなくて暇なので約八十年ぶりにモッケイエンタテイメントの記事を書いたりする(百歳のおじいちゃんがフルマラソンに挑戦とか)。

だが、仲間のほとんどが先にくたばっているかもしれない。

百本を立てるにあたって問題発生。

ローソクを立てるスペースがこれ以上ない。

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そのため、イチゴなどケーキの上にほかに乗っかっているものを取り除くことにした。

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イチゴはなんだかいい具合に火が通っているし、チョコレートはチョコレートはなくローソクでコーティングされた何かであった。

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そして百本のローソクも立て終え……

点火!

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百歳のお年寄りが孫・曾孫からのサプライズプレゼントとしてこんなもの見せられたら、心臓発作でも起こしかねない。

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バーズデーケーキに立てられた百本のローソクの火は、つながって一つの大きな炎の柱になった。

生クリームなど完全に溶け、ジュージューと音を上げながら溶けた青いロウが机に流れ始めた。

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炎に包まれたバースデーケーキを眺めながら、百歳のニシカゲは何を思うのだろうか。

この調子で二百本を目指したかったがローソクのロウがケーキの表面を完全にコーティングしてしまいこれ以上ローソクが立たなくなってしまった。

残念だがここで実験は断念。

だが考えてみてほしい!

普通バースデーケーキをケーキ屋で買うとローソクを年齢の数だけつけてくれるが、十歳以上の人だと気を利かせて一本で十本に見立てたやや大きなローソクをつけてくれるのだ。

(例えば、十七歳の人だとやや大きなローソク一本と普通のローソク七本つけてくれる)

今回立ったローソクは百本。

だが、これが一本で十本に見立てたやや大きなローソクだったら、千本立てたことと同じである。

もうなにも心配する必要はない。

私たちの誕生日は千年先まで保証されているのだから。

結果……バースデーケーキには千本のローソクが立つ

パーティー開始

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さあパーティーの始まりです。

「うわ~!おいしそ~!」

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なんとかローソクを取り除いて食べられるようにしたが、ローソクを立てすぎて蜂の巣のようになっている。

さて、味のほうは。

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ニシカゲ「うまい」

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ナルヒラ「うまい!」

残ったろうの破片の歯ごたえがいいアクセントになりケーキはとてもおいしく食べることができた。

(すべて残さず食べた。神に誓って)

そもそも私の誕生日は今日じゃないし、ナルヒラの誕生日というわけでもないので何のパーティーだかさっぱりわからないのだが、楽しいパーティーは静かに終了した。

まとめ

この実験を通じて冒頭で述べた私の仮説は杞憂の心配だとわかりほっとした。

実際私がいつまで生きられるかはわからないがなるべく長生きしたい。

だが、人生は長ければよいというわけでもない。

百年ただダラダラ生きる人もいれば、五十年何かに打ち込んで生涯を終える人もいる。

人生は目標があるから輝くのであって、ただ長寿のみを追い求めることはくだらないことなのだ。

バースデーケーキの上で執念深く燃える炎と、その後醜く蜂の巣と化したケーキはこのことを暗に示していたのかもしれない。

 

 

 

 

 

(ニシカゲ)


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ニシカゲ

陰の者



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